· 

矯正専門医は?

  一般の矯正医はあまりにも専門的すぎるので一人の患者を全体としてみる能力や考え方はありません(中にはトータルに勉強されている先生も少数いますが)。この専門的すぎる人は、なぜ生まれるのでしょう?それは、歯科大学を卒業して、ほとんどすぐに、矯正の専門教育に入るからです。

 

  歯科という世界でも、専門的な分野の分業という形で矯正が入ってきました。そして、矯正医は矯正だけの分野だけで、患者を治療しようとします。専門知識は豊富ですが、矯正専門医は一般的な歯科治療をほとんどしたことがなく、矯正の知識を一般治療に生かされていないのが現状です。 現在の日本の現状はこのようになっています。

 

  では、どの様な矯正の知識を使うのが大事 ということです。私の考えでは、専門教育は、一般治療をして、5年の経過の後に研修を行い、取得できる様にすることです。その様な体制で教育を行えば、一般治療に矯正治療が大きく貢献できます。

 

  今の医科の状況もそうですが、専門医だけがもてはやされ、そして大学の人間関係だけが重視され、現在の状況を生んでいます。本来の医学として、余りにも細かい専門医は20%~30%で良いと思います。そして、それにらに伴う医療制度もおかしいのです。まったく専門医をダメとは思いませんが、いかにしても通常に治療のできない人間が多すぎます。通常の昔ながらの医療をできる医者がいると思います。

愚痴を言ってしまいました。話は元に戻して、うちにも矯正専門医からの紹介で患者さんが来たことがあります。矯正医は簡単な処置だから、すぐに終わるから見てほしいとの事でした。(患者側の大学進学の都合で東京に出てきたそうです。そして当院を紹介されたという事でした。)

 

  しかし、簡単な処置では全く終わらない状況でした。最初は矯正医の言うとおりにしていましたが、全くダメで、最終的には、補綴にて治療をすることになりました。この患者さんにこれからの処置を説明させていただいて、ワックス模型(将来の自分の模型)を見せて、将来像を見てもらい、本人に了解して納得してもらいました。

 

  そのドクターの所は、規模を大きく行っているところで、やり手の先生でした。売り上げや患者数も多く、儲かっているのですが、一般的な診療にはあまり関心がなく、患者さんの時間を無駄にすることにつながります。矯正専門というのはいいのですが、一般の治療の中でよくよく判断をしたほうがいいのではないかと星川あなん歯科医院では考えます。

 

  当院での診療は、全てができるわけではないですが、できうる限り患者さんに沿って歯科医療を行いたいと考えています。その中で時々理解していただけない方もいらっしゃいます。こちらとしてはできうる限り対応しますが、即日に何でもできると考えている方が多いように思います。基本的に治療に入るとすぐに治る事は稀です。その辺のことを患者さんは理解していただけません。

 患者さんのかみ合わせを考えると、矯正の手段を使えることは、かなり良い条件が作れますし、歯を抜くことが最小限に抑えられると思います。