· 

矯正治療で歯を抜く前に考えること

患者さんからよく頂く質問に『前歯を直したい』、『見た目をよくしたい』という事があります。しかし、あなたはなぜ今のような状態になったのか説明を受けられたことがありますか?また、矯正といえば歯を抜くことが前提と考えている方が多いと思いますが、なぜ抜かないといけないのか、はっきりとした理由を聞かれたことがありますか?そして、前から4番目の歯(第一小臼歯)を抜くことが多いのですが、何故でしょう?

 

 

この様な見た目の悪い歯並びの原因は数多くあります。昔と違い現代ではしっかりと物を咬まなくなった事も原因の一つですし、子供たちの成長リズムが部分的におかしくなってきたのも原因の一つです。そして、歯の状態が悪い今の子供や大人は、奥歯の生えるスペースが無くなっています。その分、狭いスペースに大人の大きな歯が生えてこようとするので、その力で前にある歯(前歯)を押したり、顎骨を押し上げたりして、徐々に咬み合わせが変化していき、目に見える部分としての前歯の位置が異常を来すのです。そして患者さんは前歯の歯並びが悪く感じ、前歯だけを治すことが出来ると勘違いしてしまいます。原因は奥歯の大きさと咬まなくなった現代の食生活です。

 

 

では、前から4番目の歯を(第一小臼歯の歯)をなぜ抜くのでしょうか?それは早く治るからという理由だけです。エビデンスは何もありませんし、今の悪い咬み合わせになった原因も考慮されていません。しいて言えば、歯ならびの中間の歯を抜くことで、矯正治療を早めに終わるから抜くのです。しかし今の時代その基準は間違いです。これを論理づける研究は、ヨーロッパのDrスラバチッェックが解き明かしてくれました。

 

 

何度も言いますが、前歯の悪くなる原因は奥歯なのです。それも大臼歯と呼ばれる大きな歯なのです。大臼歯と呼ばれる歯は3本あります。これらの歯が生えてくるときに咬み合わせが悪くなったり、様々な変化が起こってきます。この時期は子供たちにとっては、小5から中学くらいの時期です。そして、成長とともに変化していきます。

 

また、前から4番目の歯は咬み合わせにとって重要だという事も解ってきました。そうすると、前歯の悪くなる本当の原因は奥歯にあることになってきます。4番目の歯は大事な歯ですので、顎のスペースの問題から星川あなん歯科医院では、親知らずを抜くことを考えています。

 

 

歯並びが悪い弊害は、虫歯や歯周病などの疾患を起こしやすくし、胃腸障害などにも影響を与えます。また、学業(発音や自閉症など)や仕事にも影響があります。それは、全身のバランスに影響し、イライラする、集中力が無くなる、視力低下、頭痛などの症状も出ます。

 

 

歯並びの異常は見た目だけでなく、生活態度や精神面への影響も大きいのです。また、口腔という器官は、ストレス発散のための器官としても役割も持っています。

 

その時に歯並びが悪いとストレス発散のため食いしばりの力や歯ぎしりの力に負けてしまい、歯周病や虫歯ひいては、顎関節症や不定愁訴の温床となります(この辺のことは寝ているときにおこるので知らない方も多いのですが)。しかし、前歯が悪くなっている時点からこのようなことは始まっていますので、大きな問題になる前に矯正治療などの治療を星川あなん歯科医院では、大人であれ子供であれ、お勧めしています。