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虫歯になる理由

今回は、皆さんの質問が多い、虫歯になる理由について、私なりに考えている事も含めて書きたいと思います。

 

虫歯になる理由は現代社会では様々ありますが、まずは、食生活の変化だと思います。明治、大正、昭和初期の食生活と大戦後の1960年代からの好景気の時代からの流れの変化があります。前者の食生活は、質素な食生活で食事回数も1日2回程度でした。しかし、1960年代からは好景気が始まり食生活が豊かになっていった時代の始まりです(1日3回の食事になってきました)。

 

1960年代ごろから、今までになかったお菓子や甘いもの、肉食など軟らかい食事が入ってきたのです。その食品の中には砂糖やそのたぐいの物がふんだんに含まれていて、当然、虫歯や歯周病などに罹患する確率が高くなり、歯科も進歩しておらず、だめになったっら抜くという時代でした。また、食生活が豊かになっても歯ブラシの指導や方法が、適切に指導されていない時代でもあったのです。今では当然と思われてもその時代にはなかったのです。

 

そして、現在では、予防という概念ができてきているのですが、しっかりと歯ブラシができる方は非常に少ないのです。ご本人ができていると思っていても、第3者的(歯医者サイド)にみると全くできていなかったりしているのが現状です。これでは、当然、虫歯や歯周病になります。本来は、政府が予防教育に力を入れることで、義務教育の期間に、徹底して病気に関する知識・予防を入れてあげれば、将来の慢性的な病気や歯の病気の半数を防げると思います。それが実際に行われているのがスウェーデンなのです。

 

ですから虫歯0ができるのです。また、虫歯は甘いものだけではなく、歯並びによっても起こってきます。歯ブラシのやり方がわかっていても、歯の並びが悪ければ、歯ブラシのできないところが出てきます。特に歯と歯の間が虫歯になることが多く、歯ブラシだけでは磨ききれないのが実際です。昔の人は、病気は自分の責任と言われますが、現代ではそれだけではなく、食生活の問題が多くなり、普通(一般の方)の方が対応できる状況ではありません。そして、医療費の高騰が毎年問題にもなってきているのです。そして、子供たちや親もそうですが、習い事や勉強に多大なる時間を費やしています。間違いではありませんが、すでに、大学神話は滅んでいるのです。基本的な生涯、自分を支えてくれる技術を身に着けることが大事なのです。

 

私も開業して20年を超えましたが、相変わらず虫歯や歯周病が多いのです。そして歯ブラシの大切さを伝えてきたのですが、反応が悪いです。その場だけで対応する方が非常に多いのも事実です。そして必ず、患者さんは、歯ブラシはしっかりとしているといわれるのですが、我流で、基本が何もないのです。確かに歯ブラシは時間が掛かり根気のいる作業です。しかし、それができなくなっているのも事実です。

 

本当の医療は、予防できるものは、予防することが大きな病気にならないで済むのです。現代の食事も同じで、肉食系になってきて、身体が酸性に傾いているのも、病気を助長する原因にもなっています。これに関しては、『チャイナ・スタディー』という本に詳しく書かれていますので、気になる方は、読んでみてください。そして、この酸性体質というのは、虫歯・歯周病の大敵でもあります。お口の中(というより身体が)が酸性になっていると虫歯や歯周病を進めてしまいます。一般的に、虫歯の原因はバクテリアの出す酸と言われています。これを助長するのが酸性体質なのです。酸に酸が加われば、当然お分かりになりますよね。この体質の改善とお口の中の改善をすることで、問題のない範囲に収めることは可能です。

 

それには、食生活をできれば昔の食生活にすることが大事なのです。その食事は、ある程度のベジタリアン的な食事に変えていくことです。肉食から菜食に変えることで、さまざまな病気を予防できます。しかし、ここまで肉食が進んでいると、毎日菜食というわけにもいかないと思いますので、1週間の半分くらいを鍋などの採食(ベジタリアン的な食事)にするのです。そうすれば、身体が酸性になることが少なくなり、病気の予防ができます。

 

毎日のちょっとしたことが、身体を健康に維持するのには必要なのです。このちょっとした習慣が、健康で長生きできる身体を作ってくれます。