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咬みあわせと矯正治療2

抜歯・非抜歯論争

 

 

歯科矯正会には、いまだに抜歯・非抜歯論争が起こっています。

 

私は、どちらも正解でいいと考えています。基本的には患者さんの意向に沿えるようであれば。

 

 

ただ、横浜あなん歯科医院では、基本的に、【咬みあわせを作る事】を最も大切な要素と考えております。つまり前回書きました通り、糸切り歯(犬歯)の誘導が出来ればいいのです。犬歯の誘導は前歯の誘導につながり、さらに奥の歯が守られる環境が出来てきますので、歯を抜く必要なないと考えています。

 

 

そして、よく見るケースなのですが、矯正終了後、小さい奥歯の歯の間に1から2ミリの隙間がある患者さんがいらっしゃいます。

 

本来、矯正治療は、隙間なく歯並びを再構成するものです。それが、抜歯をしたために、そのスペースを閉じる事が出来ず、スペースという形で閉じてしまう事も多々見かけます。あるいは、閉じるために歯を斜めにしていくケースもあります。

 

私は基本的には、歯並びをある程度まで並べて、最終的に判断をします。そして、出来るだけ歯を抜かなくてすむように、歯を少しだけ削ってかみ合わせのためのスペースを作ります。

 

方法は、1本の歯を両側0.5ミリだけ削る方法です。これで1本から1mmのスペースが確保されるのです。この削る範囲は、歯の表層のエナメル質の部分だけなので、問題は起こりません(さらに研磨をしますので問題はありません)。前歯6本なら6ミリ確保できます。

 

10本なら、10ミリ確保できます。そして、小臼歯を抜歯して出来るスペースは両方合わせて14ミリなのです。これから、2ミリ程度スペースが開くとしたら、どうでしょう?通常の矯正で抜歯をして出来るスペースが、14ミリです。これらを計算すると、ちょうど10ミリ程度、これは歯を抜歯しなくても出来る事がわかりますよね?

 

ですが、必ずしも抜歯を否定はしないのも事実です。私の治療でも、必要があれば、抜歯も選択肢に入っています。

 

スピード矯正(骨に切開を入れて、炎症反応を人為的に起こし、歯の移動を早くする治療法です。要は骨折して、治る過程を歯の移動に応用したものです。)に対する理解もしていません。海外では、論文もそろってきて、しっかりとしたエビデンスも確立されているのにです。

 

 

抜歯、非抜歯での治療の”世界”というのはありません。それは個々の患者さんにとって答えが違うからです。犬歯のかみ合わせを軸に、長く安定したかみ合わせを持つことが何より大切だと考えています。

そのアプローチの一つとしてディスキング(歯の横を少しだけ削り、スペースを作る)という方法もありますし、最先端の考え方の一つとしてスピード矯正があります。

 

横浜あなん歯科医院では、あくまで患者さんの不正咬合の原因に目を向け、その患者さんにとってのベストな治療アプローチを考えてまいります。