· 

矯正治療ではなぜ歯を抜くのでしょうか?

【日本人の歯の基本の数は28本】

   星川あなん歯科医院では、矯正治療において基本的に歯を抜く事をしません。

理由は様々ありますが、現代の社会では、歯の本数というものは上下28本あることが必要と思われます。

大目に見て32本がつい最近までは原則でした。この32本というのは親知らずを入れてということです。

しかし、この歯は食生活が豊かになった為に、顎が小さくなった日本人にはいらないものになってきつつ

あります。昔の人では、顎が大きく、必要でしたが。

 

【人種差】日本人;モンゴロイド 欧米人;コーカソイド

 日本人の顎の形や形態は、モンゴロイドという人種によってある程度決まっています。矯正治療時のよく

言われる”E-ライン”という基準ですが、この基準は鼻の高い欧米人の規格です。その規格を日本人に合わせ

るのは無理というものです。そしてこの規格ができたのは、当時の歯科医師がアメリカ留学して学んだ規格

です。それを今の日本人に当てはめることには無理があると思います。

 また、歯を抜く理由に欧米人に似てくるよとか、出っ歯が引っ込むよとか、言われるのですが、それです

べてが治るように言われますが、多分そんなことにはならないと思います。人種によって骨格はある程度決

まっていますから、日本人が欧米人の美を求めるのは間違いなのです。全身整形をする以外、日本人が欧米

人にはなれないのです。

 

【歯を抜く事で、しわが増える】

 また矯正で歯を抜くことで起こる変化は、若い時はあまり気になりませんが、年齢と共に顔のしわが増え

てくることやかみ合わせの高さが下がってくることなどが日本人では多々あります。

本来のかみ合わせの高さはある程度決まっていますが、抜歯を行うと咬み合わせの高さが下がってしまう

ことが多いです。歯を抜いてしまう事の重要性が感じられます。そしてこの歯(主に前から4番目の歯)は

最近の研究でかみ合わせにとって大事な歯だということが解ってきました。

   ですが、この歯を抜くことで矯正治療を早めることもできます。しかし、それほど急いでどうするのです

か? 結果的に歯を抜くことで治療は早まりますが、最終的に隙間が空くことが多くなります。どちらがいい

ですか?この長寿の時代に備える歯並びの準備をするほうがいいと思いますが。

 

【抜歯をしない】

 歯を抜かずに治療をすると、時間はかかりますが、日本人らしい良い歯並びになります。

ただ人によっては欧米人の顔を求める方もいますが、私のところではそのような方はほぼいませんので、

咬む機能を優先させて矯正治療を行います。

 そして、歯並びが気に入らないとか、何かあればその時に抜くという選択肢もできます。前歯が悪くなる

原因は奥歯が悪いからです。そのために奥歯を直してから前歯の治療をすることが大事なのです。

そして、歯を抜くべきではないというデータも出ていますし、オーストラリア(コーカソイドという人種が

主な人たちです)の医師で歯科医師のスラバチッェックという先生が証明してくれました。

更に歯並びをよくすることで、4本抜くことで、歯が悪くなったときに弊害が起こります。変な話ですが、

抜歯をしない治療をしていると、隙間が出来ませんし、うまく並ぶように感じています。

 

【歯周病、顎関節症の恐れ】

 虫歯や歯周病、胃腸障害、集中力の低下、視力低下、頭痛などの症状が出ます。

また、顎関節症になることもあり様々です。それらに伴いかみ合わせが徐々に壊れていきます。

人(本人には)にはわからないくらいに徐々にです。そして歯が無くなる(歯周病)か顎が悪く(顎関節症)なるか、両方か。この様に考えると、歯を抜いて矯正をすることが罪悪と思います。

しかし例外はあります。全体のトータルバランスを考えて抜くか抜かないかを判断します。

 

【矯正治療は通常の治療】

 矯正治療も通常の治療の一部なのです、この技術を活用して、一般の治療にも活用していくことが今の時代では特に大事なのです。しかし、一般の歯医者は矯正の知識を持っていません。そして勉強をしていないのです。逆に矯正医も一般の治療の知識を持っていません。歯医者という資格を持っているはずなのに、トータルな治療を考えられない人間が多いのです。これは今の日本の状態と同じなのです。縦割りの行政の弊害です。また、歯科大学では、それほど矯正治療を学ぶことはありませんので、仕方のないことだと思います。

ですが、これからの治療のためには、矯正治療を取り入れて、根管治療、保存治療、補綴治療、外科治療などを総合的に判断して治療にあたることがこれからの医療には大事だと思います。