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基本・基礎が抜けている今の歯科医療

 今の若い医療人には、本当の医療の神髄が身についていません。

昔のことで何を言うやらではありませんが、私の若いころは今のように治療の機械化が進んでおらず、自分の経験や修行といったことが主体となっていました。しかし、今の若い人はそのことを解らずに、機械に使われているような機械的な治療しかしていないように感じます。

 

 そして、うわべだけの治療でいい歯科医療と唱っています。しかし、今の若い人はうわつっらいやり方だけを学び、そしてそれらを実行に移します。それでもいいのですが、できない仕事も多々出てきます。仕事のやり方を学ぶのはいいのですが、それに失敗したら、あるいは上手くいっても再度見直すことが勉強になり、その仕事をより深く学ぶことになり大事なのです。それらの事を今の若い人はそのような事していない様なのです。これには原因があります。一つは昔のように稼げなくなったことも問題です。ゆとりがないのです。そして、私学などはその分の学費が稼げないのです。ほかにも理由はありますが。

  若い人は、高い講習会のやり方を学んだら直ぐにできると簡単に思っていると思います。例えば、うちに来院した患者さんの傾斜歯の整直がそうです。これがそれだけの時間をかけて本当にやったの?という感想(私の)の患者さんが来ました。私にすると、歯が全く整直していないように見えました。私も全てができるとは言えませんが・・・

 

 過去にうちで治療をした患者のレントゲン写真を見せて、このくらいまでならできると伝えましたら(実際には、その状況はかなり改善されていました)、お願いしますと言われました。そして前の先生のところでかぶせ物まで入れていたのですが、すぐに取れるそうです。実際に取れていました。

そのような歯の状態での治療は、とても難しいのです。なぜかというと、これには一般治療の知識と矯正治療の知識と経験が必要なのです。限界はあるのですが、でもこのケースよりはいいところまで行けると私は確信していますし、そのような治療は、私も実際におこなっていたからできるといえるのです。

でも、そのような経験もなくお話しもなく、一方的に勧めてはいけないのです。

 

 そこで私はこの方のケースでは、次のように計画しました。

 計画としては、まず下顎の矯正を行いワイヤーを入れる。そして特殊なカリバを接着し、抵抗中心(この意図が大事です)にフックを作り、ゴムで引っ張る。さらには、スピード矯正を入れました。

そのような設計をして今、患者の治療に取り掛かっています。

 

 話はずれましたが、基本を知ることは大事です。しかし、その基本の上にさらに基本が必要なのです。さらにその上には応用が必要になります。一括りにはできませんが、中国の漢方でいう、小医、中医、大医というのが必要になるのではないかと思うのです

そして、デジタル化の原点は基本的にはアナログなのです。そのことは、今の人にも隠されているわけではないのですが、目に見えませんし、今となっては教えてくれる人もほとんどいません。ITの世界でも同じだと思いますし、歯科医療の政界でも同じなのです。

アナログを理解してから、IT時代にも通用すると思います。すべての原点はアナログですから。ですから基本が抜けているとこの記事ではお伝えしています。

 

 そして、今現在がこの時期への変換の時期になっているのです。アナログからITへの変換時期なのです。これは、IT時代は便利なようですが、無理もあります。

勧める先生は、そのような仕事に従事しているのですが、しかし、皆がそれに従事しているわけはありませんし、開発した人の勝手な意見だけです。それでは全体には広がりません。それでは意味がないのです。良いことであれば、全体に広げるのが一番ですし、それをできない開発者では意味がないと私は思います。