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上下の印象採得

 星川あなん歯科医院では、型を採得するときには必ず上下の型を採得します。そして、バイト(かみ合わせ)をしっかりとした材料で採ります。このような治療法は、本来保険ではコスト的には大赤字です。しかし星川あなん歯科医院ではあえてそのような方法をとります。そうすることでほぼ調整のない補綴物を入れることができるからです。

 

 我々の補綴治療方法は、模型を使った間接法です。その時に模型とまったくと同じような精度で作れれば、多少のケアレスミスがありますが、ほぼ調整のない補綴物が入れられます。そうすることで、患者さんのお口の中で狂いのない状態で何の調整もなく入れられ、患者さんの利益になります。

昔のように様子を見てくださいとの事がほぼなくなり、将来の顎関節症などに対応できますし、良い医療になります。

 

 そもそも、顎関節症は基本的に医原病です。1960年代に今のかぶせもの治療方法が入ってきたためと保険診療の医療費の安さが原因になっています。安かろう悪かろうです。アメリカのようにすべての歯科医療が自費治療であれば、費用は高くつきますが、通常の治療の範囲ではよい医療ができます。そして、優秀なハイジニストやテクニシャンにも十分な費用を分配でき、後継者の未来も明るくなります。

今、テクニシャンの学校がなくなりつつあります。そして、学校を卒業しても根を詰めて仕事をするような人はほぼいませんし、宝飾業界に転職する人も多いです。これらのことは、給与が安い、残業が長い、きついです。今でいう3Kとか7Kということになります。歯科技工士というのは国家資格ですが、自分たちの生活の足しにならないのです。そして家族が持てるようにはなりません。そんな世界に誰が従事するのでしょうか?

ヨーロッパやアメリカのように、本来は国家が皆の給与を底上げして、発展させていかないといけないと思います。そして皆に豊かな医療を提供できるようにしないといけないでしょう。

そして、補綴物の世界にも様々な道具が入ってきていますが、まだまだです。かぶせ物を作るにしても、CADシステムなどが入っていますが、最終的には、よいテクニシャンがいないと、うまくいかないのが現状です。

 

 横道にそれましたが、本来の話に戻りましょう。

まずは、上下のトレーを選択します。サイズはSS、S、M、L、LLなどがあります。患者さんのお口の中に合わせてセレクトします。上顎はMで下顎はSということもままあります。

このセレクトの仕方は、歯列全体がトレーの内側に入って外壁が口からあまり出ないことが大事です。ちょうどいい感じになるサイズを探して調整します。それでもだめであれば、少しトレーを変形させることが必要です。金属製のトレーであれば多少の変形ができます。患者さんの椅子の位置を設定してから、アルギン酸を練ります。適切な量の水とアルギン酸パウダーを入れて自動錬和機で練ります。練りあがったら、トレーに盛って成形します。アルギン酸を少し指にとり咬合面に歯並びにこすり付けます。そしてトレーを患者さんのお口に入れて型を取ります。上か下は決めておいて下さい。基本ではないのですが、私は順番として、型を取るときは、基本、対合からです。

 また、形成をした後などは、形成してない方から型を取ります。

それから、バイトを採ります。この時には左右同時に咬んでもらうようにしてください。そうしないとズレますし、さらには技工士さんが苦労をします、そして患者さんにも再度印象を採ることになりますので注意してください。時間の無駄です。

 バイトをとるときも、座位でするか寝た状態でするかでも変わりますので、その辺の事は担当のドクターと相談してくださいね。あとはカフウして終わりです。

 麻酔下の時は後に症状が出てくることもありますので、ご注意を。

星川あなん歯科医院では、このようなことはほとんどありませんが。これにはきちんと段階を追って治療をしていますので。しかし、コストに見合いませんが・・・・

 

そしてこれらのことをしっかりと行うことで、かみ合わせを狂わせずに治療ができるのです。

 

しかし、最近では治療時間イコール費用という経済コンサル的な話が多くあります。

 そして、かみ合わせが高いにも関わらず、そのままの高さで銀歯を入れてしまう先生が多くなってきたようです。確かに保険治療は歯科医院にとって赤字です。しかし、我々は医療をしているのです。それに責任を負わせるように保険で何でも出来ますといいます。まったく何もできません。それくらい、保険治療は初期の頃とは異なり、すべての問題が賄えないのです。政治家は何でもかんでも保険でできると言われてますが、全く出来ません。時代は進みました。そして様々なことができるようになってきました。しかし、人件費や将来の可能性などを考えると、今の治療費では、まかなえませんし、良い医療にはなりません。

そして、其処をついてコンサルタントが出てきました。それは経済的によくなるように指導をする人達です。そしてそこには患者は存在しません。これでは本来の医療になりません。

 

その結果が、結論的に言うと、今の患者がうちに来る結果となっています。

コロナ後にそのような事が、さらに多くなってきたような気がしています。

きちんとした教育、治療においての責任感のなさ、医療をしているという意識の低さなどが今の歯科医には不足しているようです。まさに新人類です(古いですが)。