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歯科治療の基本

 現在の歯の治療は、欧米的に個々の治療に終始します。お口という領域を、細分化し、個々に分けて治療をします。しかし、お口の中は一つの組織です。そして、身体も同じです。ですから、悪いところだけを治してもダメなのです。それが西洋医学の悪いとこなのです。ここで患者の全身を診る東洋医学の考え方が大事なのです。

 そのような目で患者を診ることが大事なのです。その上で以下のような提案をしていきたいと思います。

歯の治療は基本的に、顎の状態を治してから、歯の問題を対応することが基本です。世の中では何も言われていませんが、それが歯科で勉強を続けている人の常識なのです。

 

 そのように考えていくと、本来の治療の手順は歯からではなく、顎関節の状態をフリーにし、良い状態にしてから、個々の歯の治療が正解なのです。ですから矯正治療なども、顎の状態がしっかりとしていることで通常の治療としてできるのが前提です。また、人工物(補綴物)の入っていない人でも様々な癖や習慣などがあり、これらも治していかないと矯正治療もうまくいきません。

 

この様な基本事項ができているかどうかのチェック機構が今の日本の歯科界(保健医療)にはありません。さらには概念自体もありません。これではどんどん悪くなっていくのもうなずけます。

 

1960年代の治療の原点は、かぶせ物(鋳造物)をいかに入れるかに始まっています。ここで中途半端な技術が一般医に伝わったために、時代の流れとともに顎関節症は増えていき、現代では治療をした人のほとんど人が顎関節症です。そして、高い低い鋳物の鋳造物が入ることで、顎が少しずつずれていき、様々な症状を引き起こす病気へと発展していったのです。

 昔、銀歯を入れたときに高いことや低いことがありませんでしたか?しかも暫くすると慣れると言われませんでしたか?ですから星川あなん歯科医院では、全体で型を取るのです。ここをしっかりとしないとかみ合わせが崩れます。それもミクロン単位でずれるのです。この意味が分かりますか?人には解りにくい範囲です。

これが目に見える形になるには、時間がかかります。何年もです。

 

首や肩の症状、頭痛などの1/3は、噛み合わせに原因があるといってもいい状態です。当時は時代的にわかりませんでしたが、今ではかなりの部分がわかってきています。しかし、エビデンスがないために証明はできませんが、臨床的には何となく理解されています。

 ですから、心ある先生は、噛み合わせの治療をしましょうと言うのです。大きな問題がある人は特にです。また、矯正治療が必要な方でもです。しかし、ほとんど問題のない方は通常の治療で問題はないと考えられます。

 

ですから、噛み合わせという目に見えない事実を具体的に表現するために咬合器やそのほかの器具があるのです。しかしすべてが悪いということでなんでも治すというわけではありません。特にひどい人たちに対して、このような技術や知識を使います。

 その前に検査をすることである程度のスクリーニングをして判定をすることが大事なのです。

大きく問題のない方は、経過観察と現状の維持を試みます。かみ合わせは経時的に変化をしていくので、時間をかけて様子を見ることになるので、歯科とは一生のおつきあいなのです。