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矯正治療の本質2

口腔の役割

 

《ストレス発散と咀嚼器》として役割があります。前者は古来からある動物としての本能であり、後者は人間が2足歩行になった頃に獲得したものです。

 

歯並びが悪いということは(問題のない方もいますが)、現代では様々な問題が起こっています。 そのおおもとは食生活の変化です。現代は昔に比べ豊かになってきており、昔は固い食事が主流でしたが、現代では柔らかい食事でおいしい食物が主流になって来ています。咬める食事でなくなってきた事が今の歯並び(不正咬合)を招いた原因の1つなのです。そして、むやみに同じ白い歯を求める患者さんは心配です。

 

よく咬むことで顎は発達します。お口の周りの筋肉や骨も同じです。そして、今の時代、子供の外遊びが極端に少なくなり、運動能力が昔に比べて落ちてきています。それは、お口や身体、脳の発達が悪くなってきている事をも意味しています。

 

さらに無意味な現代社会特有のストレスがあります。このストレスにより、歯はかなりのストレスを受け、歯ぎしりや食いしばりが出ています。そして、歯を壊す力になるのです。このストレスの発散はお口の役割の一つです。正常に発育していればこのようなストレスはうまく発散されるのですが、歯並びが悪いとそのストレスが歯やお口を崩壊へと導くのです。このような時にきちんとした歯並びがあれば、このストレスによる力が歯を伝わって顎の骨や頭蓋骨に分散させて力を開放します。このために良い歯並びがあります。そして、咀嚼器として言葉を話したり、会話をしたり食事をしたりなど人間関係を楽しむためにも必要です。それらが、口腔という咀嚼器としての2つの役割です。

 

特にストレス発散ということは初めて聞かれると思います。人間というのは、ストレスを溜めていることはできません。溜めれば、色々な病気になったり、精神的な問題を起こすと言われています。このようなことを防ぐためにも矯正治療により歯およびお口の状態を治すことが大事なのです。自分が知らないところで、歯やお口の病気はしずしずと進んでいるのです。また、食生活の変化で、今の時代はエネルギーを取りすぎです。

 

その過剰なエネルギーは、様々な問題を起こしています。それは成人病に代表される問題です。高血圧、糖尿病、心疾患、肥満、脳疾患、動脈硬化などです。

 

現代の食生活は、これらを助長し、楽な生活をすることで病気になっていきます。さらに、悪化し、身体が病んでいくのです。この様にならないためにも必要なことは、適切な運動もありますが、それよりも歯並びを治していくことが一番です。

 

口腔というのは消化器官の始まりであり、一番使われている組織なのです。そして歯があることで食物を砕けます。そして飲み込めるのです。それから胃や小腸などがそれに続きます。そして歯で物を咬むという刺激が脳にも伝わりボケも少なくなるのです。その事が非常に大事なのです。