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開口(オープンバイト)の成り立ち

『12歳臼歯が生える頃から歯並びが崩れるのは何故か?』

大体6歳から10歳ぐらいまでは、見た目もきれいな歯並びですが、中学に入るころから歯並びが崩れてくる人が多いです。それは何故でしょう?

 

その原因は、歯の生えるスペースの不足、咬合力(咬む力)の欠如、顎の成長能力の不足、大臼歯の過大な萌出力などによるものと考えられます。

 

■スペース不足

 

歯の生えるスペースの不足とは、文字通り歯の萌出スペース(歯の出るスペース)が無いことです。それも大きな奥歯の生えるスペースが無いのです。第2大臼歯(12歳臼歯)、第3大臼歯(親知らずの事)のスペースが顎にないのです。そうなるとどうなるか?

 

大きな奥歯は手前の歯を押し上げて、手前の歯や顎の骨が押し上げられていきます。その結果として前歯の歯並びが乱れてきて、開口になってきます。

 

■咬合力の欠如

 

咬合力の欠如とは、咬む力が昔に比べて格段に弱くなっているのです。その主たる原因は食生活の文明化です。聞こえは良いのですが、硬い食生活から柔らかな美味しい食生活への変化が咬み合わせの悪くなる原因です。柔らかな食事では、咬めない食事になり飲み込みやすくなりました。また、短時間での食事や通常の量より多くの食事を摂ることになります。昔は硬い食事が多く、食事の時間も多くかかっていました。それも1食30分以上です。そして、硬い食事は何十回も咬まないといけない食事なので、食事時間は1時間程度を要していました。そのために、満腹中枢が、20分程度で働くので、普通の体形になっているのです。

 

■顎の成長不足

 

顎の成長不足とは、咬まなくなった事で、区の首位の筋肉や顎の骨が発達しなくなってきたのです。現代では、ゲームなどの発達により、外で遊ぶ子供が少なくなり咬む力や体力も弱ってきたのです。

 

要するに現代の子供たちは、昔のように咬む食事をしていません。それが原因の一つとなり、大きな奥歯の生えるスペースが無くなってきているのです。さらには、口の周辺の筋肉や骨も昔に比べて小さくなっており、あごの成長も少なくなっているのが現実です。

『開口の原因』

これらの事を踏まえて開口の成り立ちは、以下のような感じになっています。

 

12歳ごろになると、12歳臼歯という歯が生えてきます。それに伴い12歳臼歯の萌出に伴い顎の骨が盛り上がっていき、手前の歯を押し出すように力が掛かってきます。この力を、人が感じることはありません。そして、咬む力がないために、どんどん手前の歯を押し上げてきます。

 

その後、だんだんと前歯が咬まなくなってきて、歯並びが乱れてきます。

 

これらの事が基本的には開口の成り立ちの概要です。他にも要因はいろいろとありますが。

 

全世界的にも不正咬合は増えています。それは世界がある意味、豊かになってきたことも理由でしょう。そして、『勉学に集中できない理由の一つも歯並びの問題と関連している』と文科省は言っています。ですから義務教育の中で歯科検診がカリキュラムに入っているのです。

『早い時期の検査は大事』

今書いたように、原因がある程度わかっている為奥歯の状況や咬む力など早い段階で確認し、不正咬合を事前に防ぐことでかみ合わせを良くすることができます。

 

そして、咬み合わせがしっかりとできれば、将来の歯に関する病気に対してゆこうであり、年を取ってからも健全な歯が残る確率が格段に上がります。

 

歯というものは、何千年でも持ちます。しかし、まずはよい歯並びがあることが大事です。