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歯の種類と役割

今回は歯の役割とそれに合わせた周囲の筋肉についてのお話です。

 

歯は基本的に全部で28本あります。上下14本です。さらに言えば、親知らずを含めると32本になります。現代人の顎は小さくなってきているので、親知らずが生えない方も多いのが現実ですし、入りきらないもの事実です。

 

歯は前歯、小臼歯、大臼歯に分かれていて、それぞれの役割を担っています。

 

その役割とは・・・

 

前歯 この歯は、まず皆さんが思うことは、見栄えに関することに影響します。また、モノを食いちぎるためにも必要になります。

 

次に大臼歯は、モノをすり潰す役割があります。特に日本人の場合、食生活には大切な歯です。

 

そして、小臼歯には、前歯と大臼歯の中間の作用があります。

 

この小臼歯には、噛み合わせのキーとなる役割も担っています。咬み合わせの中心になっていることが研究データとして確認されています。

 

 

歯の一つ一つは、このような役割を持っていますが、また、レンガの橋のようにしっかりと並んでいてお口という咀嚼器という役割も持っています。これは、お口でものを砕き、細かくすることで唾液と混じり、飲み込みやすくする事で、消火器の作用として次へ続く胃への負担を減らします。ですから、お口でしっかりと食事を細かくかみ砕く事が大事になってきます。食事をしっかりと咬むことで、お口の周りの筋肉や顎の骨が発達し、適切な歯並びや顎が完成するようになっています。ですから、幼稚園や小学生のころから、しっかりと咬むトレーニングができれば、歯並びはよくなり、矯正治療も減るのですが。

 

前歯と大臼歯は相互に補完関係にあります。前歯で咬むときには、大臼歯は休んでおり、奥歯で咬むときには前歯が休んでいます。このような関係が成り立って初めてお口の本来の働きをしてくれます。

 

 

しかし、最近では食事自体が柔らかくなり、おいしくなった一方で食べ応えのない食事になってきていて口の周りの筋肉が正常に発達せず、歯並びが悪くなる方が増えています。今の時代に矯正が必要になる理由の一つはこのような社会的環境の変化も1つの要因です。

 

かみ合わせを作るのもお口(咀嚼器)の役割です。これは顎の病気、顎関節症も歯並びが悪くなると必然的に起こってきます。下顎は筋肉で上の歯につられている状態なので、歯並びが悪いと当然のように下顎がずれてきます。そして、もっと悪くなると顎関節症の症状を呈してきます。また、首周りの筋肉にも悪影響を及ぼし、肩こりや頭痛も起こってくる可能性が大きいのです。さらには、背中や腰の筋肉も弱ければ影響を及ぼします。

 

 

40年前(戦前戦後)はこのような状況ではありませんでした。当時、寿命が短く、身体が丈夫な人が多く食生活も質素で健康的な生活だったのです。

 

今の高齢者には、歯がない方が多く、老人ホームに診療に行くとやはり歯のない方が多く、入れ歯でさえも合っていない状態の方が多い現状があります。そのような方は、身体の衰えが激しいのです。逆にしっかりと歯がある方はすごく元気でした。やはり歯は身体の関節の一部なのです。からだの中で関節がなくなっても歩けるのは歯だけです。そして歯がないということは食事がとれないことを意味し、動物であれば死ぬのです。その大切な歯を無駄にしていいのでしょうか?

 

 

歯及びお口は強い組織です。しかし、いったん悪くなると手に負えなくなることが多々あります。しっかりと手当てをしないと歯がなくなります。そして、お口という関節がなくなり、食べることはおろか認知症が始まります。咬むという刺激は認知症の予防にもなるのです。