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なぜ抜歯をするのでしょうか?

皆さん、矯正治療において、どの歯を抜いていますか?多分、真ん中から4番目の歯か、5番目の歯でしょう?それも上下左右4本も。長年、世界の矯正会では抜歯論争が繰り広げられていました。歯を抜いたほうが良いというアメリカ的な考え方、抜歯はしないというヨーロッパ的な考え方の2つがありました。この論争の結論はまだ出ていません。

 

しかし、現在では異なる考え方も出てきています。それは、根本的には並びが悪くなる原因の追求からの研究であり発想です。ヨーロッパにスラバチェック(オス―トリア、ウィーン大学)という方がいます。この人の研究では、歯並びが悪くなる原因は、ある意味、咬まなくなったことによる奥歯の萌出力(歯が生える力のこと)が原因だったのです。

 

奥歯の萌出力とは、6歳臼歯、12歳臼歯、親知らずの生える力のことです。これらの奥歯が生えてくるときには、手前にある歯を押し上げ、さらには顎の骨を押し上げていきます。そして、その押し合上げる力がかみ合わせを変えてしますのです。この事はかみ合わせが悪くなることにつながっていくのです。

 

そもそも人間の骨格は、お口の状態や顔の状態によって分類されているのですが、それらの状態によって歯並びがどのようになるかが決まってくるのです。また、現代では、戦前の食事に比べて現代の時代の食事は柔らかく、噛み応えのない食事を続けることにより、歯並びが酷くなることが多々起こってきています。このような噛めない食事では、歯やお口の周りの筋肉も発達しません。そのために、前歯で噛めない人(オープンバイトの人)や反対咬合(下あごの出ている人)になってしまう人、出っ歯(昔のサンマのような感じです)になってしまう人など様々です。そして、個人個人の骨格によってどういう感じになるかは、大体決まってきます。

 

このような状態が科学的な検証により証明されています。また、今までの抜歯していた真ん中から4番目の歯、5番目の歯、特に4番目の歯ですが、噛み合わせの中心であり、キーになる歯だと解ってきました。ですから、私たちは真ん中から4番目の歯や5番目の歯を抜かずに歯並びの治療を推奨しています。もし抜歯が必要であれば、第一選択として親知らずの抜歯をし、その後は、患者さんの希望を伺い、対応します。そして、不正咬合(要は歯の生えるスペースの不足ですので)の成り立ちを考え、推測して、正反対のことを治療として行います。このような矯正治療も従来の装置や器具では不可能でしたが、2000年代の新しい技術や材料を使うことで可能になってきました。このように歯科矯正治療の技術は日進月歩しています。

 

その上、咬み合わせの方は、歯の上下のかみ合わせ(顎の状態)もおかしくなっている方が多くいます。私どもでは、噛み合わせ(顎の状態)と矯正治療とは別に治療をしないといけまいと考えています。可能な限り努力していきたいと星川あなん歯科医院では考えています。

 

 

※注釈 星川あなん歯科医院ではすべての方の治療で歯を全く抜かないということではなく、90%の人は抜かないということです。どうしても歯が大きすぎて日本人の枠に入らないこともありますので、その時には患者さんと相談させていただきます。

 

皆さんもよろしければ一度相談にいらしてみてください。