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咬合検査(アナログ編)

星川あなん歯科医院では、かみ合わせの検査を行っています。顎は様々な要因により、ズレてきます。歯が無くなってそのまま放置していたときや歯が悪くて抜いてから時間がたちすぎた時、銀歯が外れた時、矯正治療で抜歯して治療をした人など多くの場合に顎のズレが認められます。このズレを放置しておくと、様々な不定愁訴が出てきます。これは顎がズレた事により、顎の周辺の神経や血管を圧迫するためだと言われていますが、エビデンスはありません。

 

しかし、実際に治療をして治る方が多いのが現実です。そして、私が歯科医師になって、一番困った事がこの咬みあわせなのです。いつも治療をしていて、この咬みあわせをどうしたら治せるのかを考えていました。そして、様々な研修会にも行って、学んだのですが、これと言う方法は見つかりませんでした。

 

半分あきらめかけていた時に、友人からこの研修に行ってみたらと誘われ、受講して来ました。それが当たりだったのです。そこで顎に関する知識を学んで現在、臨床で応用しています。

 

パナデントのAPIシステムを使い、顎の状態を評価して治療に当たっています。具体的には、通常検査の中でかみ合わせの検査を行います。そして、顎の状態が悪い事がわかれば、ご説明して、治療に入ります。

 

治療は、ソフトなマウスピースを使ってもらい、筋肉を楽にして、かみ合わせの治療をしていきます。足りないところがあれば足したり、余剰分があれば、ほんの少し削ったりを繰り返していきます。そして、顎の状態の悪い方は、筋肉にも症状が出ていますので、その辺もしっかりとフォローしていきます。

 

何回か治療をしていく過程で、再度APIシステムで検査を行います。そして、重要なポイントがしっかりと修正されていることを確認して、治療に入るように現在では行っています。


この図のように、赤い点と青い点が不一致です。これらが一致するように、かみ合わせの調整をしていきます(筋肉の症状も含めて)。 この上で、通常の治療や矯正治療をしていきます。そうすれば、かみ合わせに関する問題が、大幅に少なくなります。ですが、一度、顎の問題が起きれば、再発もありますので、治療終了後も、ときどきチェックは必要になります。

 

時間の掛かる作業ですが、とても大切な治療です。保険診療の範囲では、このような治療はできません。単純に虫歯を削って、治すだけなのです。しかし、お口の治療と言うよりは、顎の状態を治す事で、体に起こる不調和を治すと言うより緩和ができるのです(全てではありませんが)。 

 

歯科で言うところの保険診療とは、虫歯を削って治す事が主軸なので、顎の状態を治す事はほとんどできません。また、本当に顎を治す技術が大学には無いのです。一部の先生たちは解っているのですが、それだけなのです。そして、このシステムは、日本では流行りませんでした。そして、2000年ごろ、海外から来たスラバチェック先生という方が紹介してくれました。そこで再認識されるようになりました。

 

今現在私の使っているシステムは、寿谷一先生と言う方の一番弟子である方に教わりました。寿谷先生はこのシステムを1980年代に完成させていました。でも、日の目を見たのは最近です。そして、私はそれを学ぶ機会を得て実践しています。

 

もうひとつ、今の顎関節症が起こってきた原因のひとつに、1960年代に入ってきた鋳造と言う技巧法です。この方法は、当時アメリカから入ってきた最新の治療法です。しかし、その技巧法を当時の日本の技工士や歯科医師が良く理解していなかったのです。そして、最新だからと保険に取り入れました。この技巧法では、鋳造と言う技法を使って、銀歯を作ります。この鋳造という技術は、悪くは無いのですが、調整が多く、低いままいれられたり、高い状態で入れられたりして、歯科医師は患者さんに、すぐ慣れるから大丈夫と言う言葉を繰り返し言っていました。そして、そこから不定愁訴が始まってきたように感じます。これが原因かと言われれば、はっきりとしたエビデンスはありません。ただの臨床雑感とういだけです。

 

ですから、星川あなん歯科医院では、調整の全く無い歯を入れています。今の患者さんの現状に対して、高くもなく低くもなく、ちょうど良い歯です。そして、きちんと咬める歯です。だから、患者さんにはいつも言われています。【先生のところの歯は入れて終わりなんですね。他の先生のところは必ず調整してましたよ。】と。

 

余計な話が長くなりましたが、このような器具や道具を使用して、かみ合わせの治療をしています。