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一般歯科医師と矯正歯科師の連携

皆さんは不思議ではないですか?一般歯科と矯正歯科が分かれている事が。他の医療の分野でもあまりにも専門性が強すぎて、たらいまわしになることもあるかと思います。

 

なぜ、一般歯科と矯正医は分かれているのでしょうか?日本において、歯科医師の資格があれば、矯正治療も全ての分野が治療できるのです。にもかかわらず、分かれています。

 

歴史的な理由は様々ありますが、一般歯科医師側の意見としては、矯正治療の分析が難しいなどの理由があります。ここで大きな壁になります。また、矯正医側は、かみ合わせがわからない先生が多く、あまりにも審美のみを求めすぎて、外人の口元を再現する事に注力しているのです。

 

お互いの考えが全く異なっているので、一般歯科と矯正医との連携が取れないのです。また、矯正医に掛かる時間は限定的ですが、一般歯科と関わるのはある意味、一生です。ここで連携が取れないのは、医療としては全くのナンセンスです。私も昔、矯正医に相談に行きましたが、全く意見が合いませんでした。

 

いろいろな事を考えているうちに、私も矯正治療をする事になりました。本格的な研修をするために、千葉まで通った事を覚えています。今でも矯正の師匠です。

 

少し話は変わりますが、矯正界で矯正の祖と言われている先生がいます。EHAngle(アングル先生)という方で、歯科治療は、我々と同じ一般医でした。それが何かのきっかけで、矯正医に転向しました。矯正治療とは単独で存在するものではなく、一般臨床の中で生きてくるものだと理解しました。そして、実際に一般臨床の中で、矯正の知識を活用すると、今まで抜いていた歯が、残せるという結果が出ているのです。私のところではそのような結果が出ています。

 

一人一人の患者さんの歯を残したいという思いから、さらには、人生100年の時代です。このようなときに、矯正医のおこなっている歯を抜く矯正をしていたらどうでしょう?私は疑問です。そして、抜いた歯の前後の歯が、傾いて処理されている事が多々あります(全ての矯正医とは言いませんが)。この曲がった歯を残す事は可能なのかといつも思います。このような歯、徐々に歯周病に罹患していきます。患者さんは気付きませんが、我々は不安に思うのです。10年後にこの歯が残っているか?そして、矯正医の有名な先生にしてもらったから、絶対と言って、こちらの話を聞いてくれません。こんな医療でいいのでしょうか?

 

われわれ歯科医師がするべき治療は、患者さんの歯をできうる限り残す事です。その時に、このような治療をしていたのならば、歯は残らないです。

 

その為にも、矯正医との連携あるいは、一般歯科医師が、矯正治療をできるようになる事が大事なのです。私の考えに賛同される方もいれば、矯正医は、我々の食い扶持を取られたという矯正医もいます。私が言いたいのはそうではなく、お互いが協力して、患者さんのために良い医療と教育を提供して行きたいのです。それが私の本心です。誰かを追い落とすとかではなく、本気で患者さんのための医療を提供したいのです。

 

こんな事がありまして、私は、矯正治療を行っていますし、通常の治療にも矯正の方法を取り入れて、一般治療をしています。

 

お互いの有意な点を取り入れて、治療を行う事で、より良い治療を提供できます。東京の先生では、少しづつ始まっていますが他のところではまだまだです。

 

私は、これからを考え作って行きたいと思っています。

 

そしてこのような治療に年齢は関係ありません。矯正治療は、いくつになっても出来るのです。だからこそ、この技術を有意義に使い、人生100年時代の患者さんのために使って行き、歯を出来るだけ残して生きたいのです。