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矯正治療後の後戻りについて

一般的に、矯正治療後の後戻りへの対応は、リテーナーという装置を使います。この装置は、取り外し式の装置(ある意味入れ歯のようなものです)で矯正治療後に装着する様に言われます。

 

約2年前後、装着する事が一般的です。そして矯正医は、セトリングということが起こるといわれています。このセトリングとは、矯正治療後、歯が勝手に動く事なのです。いい位置に動くといわれています。

 

ですが、本当なのでしょうか?

 

星川あなん歯科医院では、後戻りの原因のひとつに、かみ合わせの問題が絡んでいると考えています。

 

矯正治療中は、咬む事が難しくて力が出ないのですが、矯正装置をはずすと、咬む力がよみがえってきます。そうすると、かみ合わせがずれてくる事が多々あるのです。特に成人の矯正治療後では、良く見られる現象です。これには、かみ合わせの位置関係が関わっています。咬みあわせといっても、顎の状態が関わっているのです。顎関節症という言葉はご存知の方が多いと思いますが、それと同じ現象が起こっているのです。

 

咬む事ができるようになると、かみ合わせは、自分でいい位置に行こうとします。そして、身体の変化に適応できているうちは問題ないのですが、一歩、外れると、様々な症状を示してきます。虫歯や歯周病の原因が見つからずに、歯の痛みが出てきたり、首の周囲の筋肉が痛くなってきたり、口の中にある筋肉に影響を与えたりなどの症状が徐々に出てくるのです。そして、悪い事にその症状が顕在化するのは、治療後、数年から十数年後になるのです。そして病気の原因が解らなくなってくるのです。これは怖い事です。

 

 

そういう意味も含めて、星川あなん歯科医院では、咬みあわせに適切に対応しています。また、患者さんの癖や行動、趣味などにも関連しますので、一概には言えません。しかし、そのような事を考慮して星川あなん歯科医院では、治療に対応しています。

 

このような事は、最近、教えていただきました。私の習ったころの時代では、このような事は何も教わっていません。

 

星川あなん歯科医院の今の師匠は言います。患者さんにとって一生の事なのでしっかりと治療をしてあげる事が大事だと。

 

今の師匠に教わった事が、本当なら、新米歯医者に一番に教えてあげないといけない事だと私は思いました。

 

このような事から、星川あなん歯科医院では、矯正治療の前に、かみ合わせの検査を行い、必要があれば、まず、かみ合わせの治療をします。

 

そして、癖なども改善するよう指導をします。ただ、癖というのは自覚し努力する事が大事なので、再発も起こる可能性が大きいです。

 

矯正治療後の後戻りは、咬みあわせを調えることで、ある程度、少なくなります。

 

そして、矯正治療の本当の目的は審美ではなく、前歯の咬みあわせをしっかりと作る事なのです。それは、厚生労働省の歯科疾患実態調査に、如実にでています。80歳で25から26本の歯が残っているのは、前歯のかみ合わせが残っている方たちなのです。

 

歯がなくなると、かみ合わせが崩壊していきます。そして、咬むという刺激がなくなることで、アルツハイマーになったり、認知症になる確率が増えてきます。そして、咬む事ができなくなると、外出をしなくなります。友人との会話や食事、旅行の機会が減ってきます。 最悪、家に入り浸りになり、外の世界と関わる事が少なくなります。

 

ですから、人生はお金では買えないのです。人生のQOLを得る事は、普通の生活をできる事なのです。それに対する対価は、高いものではありません。逆に、今こそしっかりと治療をする時期なのです。今の日本は、100歳の時代なのです。この時に必要なのは、そのような治療をしてくれる歯科医師なのです。

 

技術は、育つのに時間や費用、研修費用などが掛かります。それを踏まえて、有能な歯科医師を皆さんで育成してあげてください。
 

有能な歯科医師でも、神様ではありません。なんでもできるとは思わないでください。ただそのような治療を出来る歯科医師は、経験の科学を行えるのです。

 

 

経験の科学と体験の科学(今の師の言葉です)

 

実践を反省するということは、自分の行為を振り返って見る事により、良かった点、悪かった点を鮮明化すること。次に言語化するということは、マイナス点をはっきりと声を出して認識する必要がある。

 

さらに、熟念する習慣化とは、常にそのことを意識する自分を創ることです。深層意識への到達とは、五感を通しての右脳と左脳の働きを超えた潜在意識の同通を図ることができます。

 

この段階に至った時、真の『目標の鮮明化』(確実な計画性)と『直観力』(現状を見抜く力)と『洞察力』(物事の本質を見抜く力)と『ひらめき』を必然的に自分の物とすることができる。

 

『ひらめき』が常にある自分になるためには逆の順路を踏めば、『体験する科学者』である。

 

 

今、星川あなん歯科医院の師匠である方は、上記のように言っています。

 

私もこれに沿い、今までの経験も加味する事で、より良い医療を星川あなん歯科医院の患者さんに提供していきたいと思います。